115歳の懐中時計
〈 ウオルサム懐中時計 直径55ミリ 〉 〈 美麗なムーブメント 〉
写真の懐中時計は、アメリカで
1908年7月5日 に、両親から息子に贈られた
懐中金時計 です。
この懐中時計のケースは、無垢の14金でずっしりと重く、4ピース(胴体・中ブタ・裏ブタ・ガラス縁)が蝶番で一体となり、頑丈な構造です。
裏ブタを開けると中ブタが現れ、この中ブタに美しい英文筆記体で、下記が刻まれています。
David Jones Davies
FROM
Father & Mother
July 5 - 1908
(
ディヴィド ジョゥンズ ディヴィス へ 父母より 1908年 7月 5日 )
私は、この懐中時計を26年前にオハイオの骨董市で見つけ、少し値が張りましたが、中ブタの刻字に魅かれて買い取り、私の懐中時計コレクションの仲間に入れました。
1908年のアメリカと云えば、T型フォ-ドの量産が始まった年ですが、当時の懐中時計は庶民には手が届かない高額商品で、宝石商によって扱われていたと書かれています。
14金ケ-スに収まっている
ム-ブメント は、
WALTHAM (ウオルサム)社製 リバ-サイド
19石 で、当時の最高グレイドです。
ゼンマイを巻くと動き出し、
111年前の時計 とは思わせない元気な動きで、正しく時間を刻みます。
14Kのケ-ス裏ブタには、網目模様のような
ギョシェ彫りが施され、下部に
David のイニシャルの
D のデザイン文字が入っており、息子への愛情を込めた特注品であることを示しています。
111年前の7月5日、この懐中時計が両親から贈られ、受け取った息子の喜びと感謝、そして幸せな家族の光景がありました。
毎年7月5日近くになると、この懐中時計を取り出し、ゼンマイを巻き動かし、
David も耳を傾けていた
チクタク音 を聞きながら、この懐中時計が持ち主の手から離れ、日本まで着いた紆余曲折に想いを巡らせます。
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