2014年03月21日

お接待あれこれ あるき遍路回想

お遍路さんへのお接待は、同行二人で共に歩く お大師さんに施しをされているもの で、お接待など
良い事を積み上げて行けば、いつかは自分にも良い事が必ず戻ってくるとの信仰から行わていると、知った。

昨年の四国あるき遍路の中で、私は様々な物・形のお接待を受けて、お接待文化を実体験した。
最も多いお接待は、遍路道を歩いていると、その土地の人が「お接待をさせて下さい。」、または
「お接待です。」と言い、飲み物・食べ物を差し出すものだった。
中には、急に家から飛び出して、お接待をしてくれる人もいて、まるでお遍路が通るのを待ち構えて
いたかのように思えた。

思い出すままに、受けたお接待を並べると;
①.お遍路宿
・宿に着くと、金剛杖 を洗ってくれた。(これは、お大師さまの足を洗って差し上げる行為。)
・洗濯機/乾燥機を、無料で使わせてくれた。(ふつう、コインで300円かかった。)
・翌日、朝の出発時におにぎり弁当を、「お接待です。」と、無料提供してくれた。
・進路/次の泊まり宿等への、親切な情報を与えてくれた。
②.ビジネスホテル
・料金は同じで、1ランク上の部屋に泊めてくれた。
・あるホテルでは、「消費税分を、お接待します。」と、割り引いてくれた。
③.お接待小屋/遍路小屋
・ある地区や個人が、お遍路への休憩所を設けてくれ、水・果物・アメなどが置かれていた。
・39番延光寺に向かう芳井のお接待小屋には、冷蔵庫や熱いコ-ヒ-・湯の入ったポットが置いて
 あり、冷たい飲み物/熱い飲み物/カップラ-メン/果物/菓子など、お遍路は好きなものを
 自由に飲食出来た。
④.車に乗せるお接待
・長い上り坂を歩いていたら、ダンプカ-が止まり、「お遍路さん、乗ってゆきなよ。」と、言ってくれた。
・11月3日、寒い向かい風の中を、52番太山寺に向かって歩いていると、通り過ぎた軽自動車が
 止まり、若く優しい女性が降りて来て、「お遍路さん、太山寺までお乗せします。」と、言ってくれた。
 *礼を言い、「私は、乗り物を一切使わない歩き遍路を行っています。」と、両方とも断っている。
⑤.トイレのお接待
・遍路道にトイレがない土地で、「お遍路さん、お使い下さい。」の貼り紙で、工場等が従業員用の
 トイレを解放していた。
⑥.コンビニストアのお接待
・高知のコンビニ「スリ-エフ」は、買い物をすると150円のペットボトル茶を、お接待してくれた。
・高知中の「スリ-エフ」は、皆同じに行い、160円のアイスを買っただけで、1本のお接待を受けた。
⑦.食べ物/飲み物のお接待
・遍路道を歩いていると、土地の人から果物/アメ/缶コ-ヒ-などを、お接待された。
・10月下旬に入ると、ミカン/柿のお接待が多くなり、1ヶ月でミカンは3年分ほど食べていた。
・11月12日、84番屋島寺に向かう途中、自転車ですれ違った若い女性が戻ってきて、「寒いので、
 お昼に暖かい物を食べる足しにして下さい。」と、500円を差し出してくれた。
 お金を受け取るのに抵抗を感じたが、お大師さんへの施しと考え直し、頂いた。
 お礼を言ってから「南無大師遍照金剛」と唱え、屋島寺で彼女の幸せを祈願した。
⑧.記念品のお接待
・折り紙細工品/テイッシュ入れ/小さな焼き物の草履・お地蔵さんなど、お接待された。
・11月14日、88番大窪寺に着いたら、中年の男性から「83歳の母が作った人形です。どうか
 お納め下さい。」と差し出された。 ご母堂は、あるき遍路結願の人に、上げるよう作っている
 との由で、有り難く頂いた。

四国あるき遍路で受けたお接待の数々を思い出すと、各土地で善根を積む心豊かな人々との触れ
合いと施しのお蔭で、無事に四国一周を歩き通せたことが分かり、感謝の念が沸いてくる。

 〈 83歳ご母堂手作りの人形、高さ5センチ 〉           〈お接待で頂いた記念品あれこれ 〉











*右写真の灰色のお地蔵さんは、77番道隆寺に向かう途中、家から飛び出してきた男性より「息子が作った、焼き物のお地蔵さんです。どうかお納め下さい。」と、頂いた。 お地蔵さんの体は、円空になっており、紙片が入っていた。 中央手前は、瓦の産地で有名な菊間町で頂いた焼物の草履。



  


  • Posted by ボブ at 09:05Comments(0)四国あるき遍路