2013年12月19日

金剛杖 あるき遍路回想

                    ア-カイブ記事            公開 : 2012年12月10日

第1番 霊山寺横の売店で、金剛杖・白衣(おいづる)・輪袈裟・菅笠・納経帳を買い、身につけると、一見で お遍路 と分かる姿となった。 金剛杖について学んだ事を、ここに書き残しておく。

1.遍路とお遍路
遍路とは、弘法大師(お大師様)が開いた四国八十八ヶ所霊場(札所)を巡拝(巡礼)することで、
巡拝する人が お遍路 と呼ばれ、地元の人は敬意と親しみを込め、お遍路さんと呼ぶ。

2.同行二人(どうぎょうににん)
買った金剛杖と菅笠には、同行二人と書かれており、これは遍路には お大師様がついて一緒に
歩いてくれている
事を示し、特に金剛杖はお大師様の分身・化身と教えられた。
この教えは、一人で遍路道を歩いて行く私にとって、心強く感じられた。

お遍路を泊める宿の多くでは、お遍路が宿に辿り着くと「お杖を、洗いましょう。」と受け取り、清水で洗い手拭で拭いたあとで返してくれる。 その金剛杖を泊まり部屋の中に持ち込み、床の間か部屋の一番良い場所に立てかけるように、言われた。 
お杖を洗うのは、金剛杖をお大師様そのものと考え、遍路旅で汚れたに違いないお大師様の足を
洗って差し上げるものだった。

3.死出の旅
江戸時代に盛んになってきた四国遍路では、現代とは比較にならない厳しい歩き旅をするもので、
四国遍路は死出の旅と言われていた。
お大師様の救いを願って遍路に出た、病苦や悩み等を抱えた人もいて、それらの人達の中には遍路途中で行き倒れることも多くあったそうだ。
お遍路さんが遍路途中に亡くなると、その土地の人が、亡くなったお遍路さんを土に埋め、その上に金剛杖を立てたもので、金剛杖は墓標の役割も果たしたと言われている。

4.墓標代わり
五輪塔とは、死者へ対する供養や墓標として造られた石塔で、その形は「5大」を表した5種類の
パ-ツから出来ている。 
金剛杖の頭部には、この「5大」が梵字で刻まれており、この部分は大切なものとして、直接手に触れないように錦布で包まれている。
昔の四国遍路では、行き倒れ亡くなったお遍路の金剛杖を、墓標として使っていたそうだ。

5.私の金剛杖
四国あるき遍路を、乗り物を一切使わず45泊46日の通しで結願出来たのは、同行二人によるもので、特に金剛杖なくしては、達成出来なかったと実感している。
四国遍路を結願し、第88番 大窪寺に金剛杖を納める人たちも居るそうだが、私は記念に家に持ち帰った。
あるガイドブックによると、死出の際に四国遍路に使った金剛杖を棺桶に入れてもらう と、その人は
浄土へ導かれるそうで、私は遺言書の中に書き加える事とした。

                      〈 菅笠・金剛杖・輪袈裟 〉
金剛杖 あるき遍路回想





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