2015年05月21日

日本美術の超絶技巧

日経新聞 文芸欄に、「日本美術の超絶技巧」シリ-ズが、始まりました。
5月20日第1回目の記事に、日本人の美意識だったわび・さび と対極の 超絶技巧 の作品と」して、
伊藤若冲「動植綵絵・紫陽花双鶏図」が、解説されていました。

記事の終わりに、「来年は若冲生誕300年で、大規模な伊藤若冲展覧会が企画されていると聞いている。」と書かれており、この企画が実現されたなら、ぜひ再び若冲の作品を鑑賞したいと楽しみが
出来ました。

今まで、伊藤若冲の展覧会に3回訪れており、それを述べた私のブログ記事を読み直してみました。

                   若冲がきてくれました展 
                          ア-カイブ記事        公開 : 2013年4月22日

ロサンゼルスに住む、江戸絵画の世界的コレクタ- ジョ-・プライス夫妻が、東日本大震災の復興支援の目的で、選りすぐりの絵画100点を米国から日本に運び込み、若冲が来てくれました展
名付け、3月1日から仙台を皮切りに、岩手~福島と公開して行きます。

私が、江戸中期の絵師 伊藤若冲の名前と作品を知ったのは、7年前に東京博物館で開催された
若冲と江戸絵画展 を見学した時でした。
高校の美術史教科書には、伊藤若冲の記載はなく、この絵画展で若冲の作品を観て「これほどの
作品を残した絵師が、なぜ日本では評価されず、作品が海外に流失してしまったのだろうか?」と、
疑問に思ったものでした。 
この展示会で、一番印象に残った作品は鳥獣花木図屏風で、8万6千個の升目に着色したモザイク画には、多種多様の動物・鳥の楽園が描かれ、スケ-ルの大きい構図・楽しさ・美しさで見飽きることなく、またゆっくり鑑賞したいと思いました。

その後、4年前に開催された皇室名宝展を見学した際に、展示品の目玉の一つとして伊藤若冲の
動植さい絵・群鶏図 があり、皇室が日本のお宝として所蔵している事が分かり、納得出来ました。
動植さい絵・群鶏図は鋭い観察に基づいて、鶏を始め生き物が極細密に描かれ、色彩も鮮やかで
その素晴らしさに感嘆しました。

ジョ-・プライス夫妻が、「東北の人々、特に子供たちに美しいものをお見せし、元気付けたい。」と、再び鳥獣花木図屏風を持ち込み、今回はガラスケ-スなし展示と知り、心遣いを嬉しく思いました。

ようやく4月17日に、仙台市博物館で開催の若冲が来てくれました展 を訪れ、館内はさほど混んでいない良い環境の中、 今回は鳥獣花木図屏風ガラスケ-ス越しでなく 、本物の色彩を直接鑑賞する事が出来、訪れた甲斐がありました。
また仙台市博物館では、江戸絵画の楽しさを学べるよう、分かり易い分類にした展示構成と解説を
しており、好評でした。

ジョ-・プライス夫妻の志から、高校生以下は無料ですので、この機会に東北に住む中高生徒たちは江戸絵画の名作・特に鳥獣花木図屏風を鑑賞されておくと良いと、思います。
(この至高の美術品が、日本で公開展示されるのは、今回が最後では?とも、云われています。)

               〈 鳥獣花木図屏風 右半分 169センチ x 374センチ 〉






  


  • Posted by ボブ at 12:08Comments(0)雑記