2013年12月23日

寝泊り あるき遍路回想

                    ア-カイブ記事            公開 : 2012年12月22日

四国八十八ヶ所霊場を歩きのみで巡る旅 を行った私にとって、歩いた日の疲れを取る寝泊りは、
最も重要だった。 良い寝泊りが得られると、翌朝は元気を取り戻せており、その日に訪れる札所に向け、気持ち良く歩き出せていた。

寝泊りの方法として、①.野宿 ②.宿などへの泊りがあり、今でも野宿を組込みながら、歩き遍路を
続けている人達がいた。 野宿は、季節により暑さ・寒さ・蚊などの問題で良く眠れない辛さと、
食事・衛生などへの準備をすれば、炊飯具・寝袋などの持参が必要となり、リュックの重さが増え、
日中に歩く時のハンデとなって大変なことだ。 
しかし、苦労は修業の一つとして、野宿を入れながら四国遍路を行う人に、何度か出合ってもいる。

今回の四国歩き遍路で、私が45泊した寝泊り宿は、成り行きで次のようになった。

①.遍路宿 11泊 … 札所を巡る遍路道に沿って在り、お遍路にとって最適の宿。減少していた。
               1泊2食料金-- 5000~6000円
②.宿 坊  1泊 … 札所の寺が、お遍路を泊める設備。宿坊を持つ寺は、4分の1くらいか?
               金剛頂寺 では、1泊2食料金 -- 6000円
        *素晴らしい設備・美味しい豪華な食事・親切な対応で、大満足。
③.一般民宿 12泊 … 一般客が使う民宿で、サ-ビス内容にレベル差があった。
               1泊2食料金 -- 5500~6500円
④.旅 館 13泊 … 観光地や、JR の駅近くなどにあった旅館。 温泉地も含まれる。
               1泊2食料金 -- 6500~8500円
       *①.~④.素泊まり -- 3000~4000円     
⑤.ビジネスホテル 8泊 … 高知・宇和島・高松など大きな都市の駅近辺で、利用出来た。
               1泊朝食料金 -- 4000~5500円
⑥.無料宿泊所 1泊 … 野宿者や、宿を取れない遍路者に提供される施設(善根宿)。
             

歩き遍路者へのバイブル地図本「四国遍路ひとり歩き同行二人」を知らず、全旅程の3分の2を
この地図本無しで歩き、寝泊りへの宿の確保にかなり苦労し、上記の結果となった。

普段生活で、夜になれば何も考えずに寝床に就いていたが、あるき遍路に出て、寝泊りする場の有り難さ・寝泊りの大切さを、認識させられた。
原発事故で避難し不便な生活を強いられている人々・
人生の歯車が狂いホ-ムレスで路上生活をせざるを
得ない人達など、かっての眠りの場から離され、厳しい
冬の寒さに向かっている。

何もして上げられないが、それらの人々が、少しづつでも良い方向に向かえるよう、お祈りしたい。
 
  


  • Posted by ボブ at 13:36Comments(0)四国あるき遍路

    2013年12月19日

    金剛杖 あるき遍路回想

                        ア-カイブ記事            公開 : 2012年12月10日

    第1番 霊山寺横の売店で、金剛杖・白衣(おいづる)・輪袈裟・菅笠・納経帳を買い、身につけると、一見で お遍路 と分かる姿となった。 金剛杖について学んだ事を、ここに書き残しておく。

    1.遍路とお遍路
    遍路とは、弘法大師(お大師様)が開いた四国八十八ヶ所霊場(札所)を巡拝(巡礼)することで、
    巡拝する人が お遍路 と呼ばれ、地元の人は敬意と親しみを込め、お遍路さんと呼ぶ。

    2.同行二人(どうぎょうににん)
    買った金剛杖と菅笠には、同行二人と書かれており、これは遍路には お大師様がついて一緒に
    歩いてくれている
    事を示し、特に金剛杖はお大師様の分身・化身と教えられた。
    この教えは、一人で遍路道を歩いて行く私にとって、心強く感じられた。

    お遍路を泊める宿の多くでは、お遍路が宿に辿り着くと「お杖を、洗いましょう。」と受け取り、清水で洗い手拭で拭いたあとで返してくれる。 その金剛杖を泊まり部屋の中に持ち込み、床の間か部屋の一番良い場所に立てかけるように、言われた。 
    お杖を洗うのは、金剛杖をお大師様そのものと考え、遍路旅で汚れたに違いないお大師様の足を
    洗って差し上げるものだった。

    3.死出の旅
    江戸時代に盛んになってきた四国遍路では、現代とは比較にならない厳しい歩き旅をするもので、
    四国遍路は死出の旅と言われていた。
    お大師様の救いを願って遍路に出た、病苦や悩み等を抱えた人もいて、それらの人達の中には遍路途中で行き倒れることも多くあったそうだ。
    お遍路さんが遍路途中に亡くなると、その土地の人が、亡くなったお遍路さんを土に埋め、その上に金剛杖を立てたもので、金剛杖は墓標の役割も果たしたと言われている。

    4.墓標代わり
    五輪塔とは、死者へ対する供養や墓標として造られた石塔で、その形は「5大」を表した5種類の
    パ-ツから出来ている。 
    金剛杖の頭部には、この「5大」が梵字で刻まれており、この部分は大切なものとして、直接手に触れないように錦布で包まれている。
    昔の四国遍路では、行き倒れ亡くなったお遍路の金剛杖を、墓標として使っていたそうだ。

    5.私の金剛杖
    四国あるき遍路を、乗り物を一切使わず45泊46日の通しで結願出来たのは、同行二人によるもので、特に金剛杖なくしては、達成出来なかったと実感している。
    四国遍路を結願し、第88番 大窪寺に金剛杖を納める人たちも居るそうだが、私は記念に家に持ち帰った。
    あるガイドブックによると、死出の際に四国遍路に使った金剛杖を棺桶に入れてもらう と、その人は
    浄土へ導かれるそうで、私は遺言書の中に書き加える事とした。

                          〈 菅笠・金剛杖・輪袈裟 〉



      


  • Posted by ボブ at 09:52Comments(0)四国あるき遍路

    2013年12月13日

    バイブル あるき遍路回想

                        ア-カイブ記事            公開 : 2012年12月18日

    四国あるき遍路に向けて、まず札所の所在地・札所間の距離・難所・宿などの情報を集めた。
    次に、右回り順の88ヶ寺+10ヶ寺のリストを作り、集めた情報を全て入れ、一覧表とした。
    この一覧表から、毎日どこまで札所をお詣り出来、どこ辺りで泊まるかを計り、おおよその日程を
    書き込み、全体日程を把握し予算を組んだ。

    地図の準備は、ガイド本の札所ル-トのイラストをコピ-し、詳しい地図情報が欲しい土地・地域は
    5万分の1地図を買った。
    インタ-ネットの 四国八十八ヶ所お遍路地図 を開き、参考になる地図を、プリントアウトしておいた。
    宿情報は、ガイド本巻末にある宿リストをコピ-し、ネット 四国八十八ヶ所巡礼の宿泊所の一覧 の宿情報もプリントアウトした。 出発前には、5泊目までの宿予約を入れておいた。

    これらの準備で、10月4日より四国あるき遍路をスタ-トし、第12番の焼山寺までは道に迷うことなく進めた。 しかし、その後は札所ル-トのイラスト図には載らない実際の道が沢山あり(当たり前の事。)、道の分岐点でどちらに進むべきか迷い、何度も無駄歩きを重ね、宿の所在地がよく分から
    なかったり等、苦戦の連続となった。

    7泊目となった民宿「鮒の里」は、歩く道に広告板を見つけ、その日の宿泊予約をしたが、歩く道沿いにあった宿を見落とし先に進んでしまい、その宿に辿り着いた時は、他の遍路客は食事を終えよう
    とした時間だった。

    遅れて食堂に入った私に、先着の遍路客から遅い理由を尋ねられた。 私が出発前に用意し使い
    始めた地図類・資料を見せたら、「これでは、歩き遍路は出来ないよ。」と、言われてしまった。

    全員が持っていた地図本は、へんろみち保存協力会発行の「四国遍路ひとり歩き同行二人」で、
    「この先あるき遍路を続けるなら、早く入手して使うように。」と、アドバイスを受けた。
    一人は、「宮崎建樹さんが作られたこの地図本は、歩き遍路に必要な情報が全て織り込まれている。 この地図本なくして、歩き遍路は出来ないよ。 歩き遍路者へのバイブル と言われている。」と、
    話してくれた。

    彼らは四国に入る前に、この地図本を入手しており、通信販売で取寄せたか、
    東京なら八重洲ブックセンタ-で買っていたそうだ。
    四国に入ってしまった遍路者は、特定の札所売店で購入する手段があると
    教わり、各札所の売店で探したが、入手出来たのは、その日から26日も過ぎた、第54番 延命寺 の売店だった。

    バイブルと言われた地図本を開くと、出発前に時間を掛けて集めた情報が全て含まれており、また
    使い勝手が良く、その後の歩き遍路は、比較にならないほど楽なものとなった。
    準備に使った時間やコピ-は無駄だった事と、地図情報の不足より起きた苦労は、今回の歩き旅の3分の2の日程で起きていたものだった。

    なお、仏教のお寺を巡礼する四国あるき遍路の地図本に、バイブルと云う言葉が使えるか?と、辞書で調べてみると、 【 バイブル…②.それぞれの分野で、権威のある書物。】 とあり、納得できた。


      


  • Posted by ボブ at 10:58Comments(0)四国あるき遍路

    2013年12月05日

    持ち物・服装 あるき遍路回想

                        ア-カイブ記事            公開 : 2012年12月5日

    7月より、四国あるき遍路へのトレ-ニングとして、奥多摩・高水三山コ-スの山歩きを6回行い、
    山道も多い遍路道歩きに適した持ち物を考え、必要となる品々を、揃えていった。

    高水三山は軽登山コ-スだが、急坂や歩きづらい箇所が結構あって、背負うリュックの不具合や、
    悪路を歩く際の靴の大事さが分かり、それらの購入時に、反映させた。

    A..装備品
    1.荷物入れ  deuter 社 リュック 22 L 雨よけカバ-付、ウエストポ-チ、エコバッグ
    2.雨具類  大きい折り畳み傘(カ-ボンファイバ- 製)、ゴアテックス上雨着、雨ズボン、防寒シ-ト
    3.記録具類  デジタルカメラ、ICレコ-ダ-、日誌用ノ-ト、筆記具、スマ-トフォン、
    4.地図類  巡礼ル-ト地図コピ-、5万分の1地図要所9枚、拡大鏡、コンパス
    5.薬類  バンドエイド、オロナイン、タイアシンA(靴ずれ・すり傷)、ムヒアルファEX、水虫薬
    6.洗面具類  歯ブラシ、歯磨きクリ-ム、シェ-バ-、爪切、ドライヤ-(濡れ物 乾し用)
    7.お詣り用品  お数珠、ロ-ソク、線香、風防ライタ-
    8.その他  郵貯カ-ド、充電器3個(スマホ、デジカメ、電池)、果物ナイフ、LED懐中電灯、
              耳栓、アイマスク、汗止めバンド、タオル2枚、非常用食糧、健康保険証
    *当初のリストアップより、かなり削ったが、最終的に12Kg の荷物 になっていた。

    B.服装
    ・10月初旬の服装+ブルゾンとした。 着替え下着1組、腹巻、5本指ソックス3組。
    ・靴 … ミズノ トレッキングシュ-ズ (ゴアテックス、1センチ大き目サイズ) 
    ・帽子 … AIGLE 社 レインハット 

    *初めて歩き遍路を行った人の多くが、足のマメで苦しみ、中にはそれが原因で挫折の人もいたが、私は最適の靴+5本指ソックスの組み合わせ効果により、一度もマメは出来ず、歩き通せた。 
    なお、持ち物への評価は、別途行う予定。

    C.お遍路用品
    第1番 霊山寺で、金剛杖・白衣(オイズル)・輪袈裟・菅笠・納経帳を購入し、お遍路姿になった。

         〈 あるき遍路 装備・姿恰好の一例 〉
     
    追記 : 2013年12月5日

    四国一周の1400Kmを歩き通せたのは、特に歩きに適したトレッキングシュ-ズと、長時間
    背負っても疲れないリュックの選択が良かった
    と言える。
    経験から加えたいのは、必携バイブル地図と、
    トンネル歩き時に3Dマスクだ。  


  • Posted by ボブ at 11:24Comments(0)四国あるき遍路

    2013年12月01日

    準備行動 あるき遍路回想

                        ア-カイブ記事            公開 : 2012年11月24日

    元気な内に、四国八十八ヶ所霊場巡りを、歩き遍路で行いたいと、2年前から準備に
    入っていた。 

    1.情報集め
    四国あるき遍路は、どの様に行われるのか知るべく、四国遍路の紀行本・関連本を探し、読んだ。

    下記の二冊は古い出版だが、著者自身があるき遍路を行った体験を元にしており、苦労して歩いた難所の数々は、時が移っても変わりは無いはずと、それらの記述箇所を情報として、メモに取った。
       ・「定年からは同行二人」 小林淳宏 著 平成6年出版 PHP 文庫
       ・「四国遍路で生まれ変る」 高田真快 著 昭和61年出版 立風書房

    また、ネットで四国遍路関連のホ-ムペ-ジを探し、役立ちそうな記事・地図を、プリントアウトした。
       ・四国八十八ヶ所霊場巡り
       ・四国八十八ヶ所お遍路地図 等など
    さらに、旅行会社の四国巡礼ツア-説明会に参加し、参考になりそうな情報を得た。

    2.トレ-ニング
    旅行会社の説明会では、あるき遍路を行う人は、少なくとも毎日10Kmほどを歩くトレ-ニングをしておいたほうが良いとの話であった。 訪れる寺によっては、山道をずっと歩き、さらに長い階段を登るところもあり、俗に云う「遍路ころがし」などの難所などで、挫折する巡礼者がいるとの話もあった。

    これらの情報から、山道を歩くトレ-ニングを、今年7月より始めた。 
    山歩き初級者向けの奥多摩・高水三山 コ-スを選び、計6回行って、降りる道を変えたり距離を
    延ばしたりしながら、山道歩きに足を慣らしていった。

    3.実行への追い込み
    何事でも大変な事・面倒な事は、先延ばしにしがちな私は、「四国あるき遍路」の出発が、ズルズルと先になる予感があった。
    高齢者にとって、先延ばしは老いが進み、体力が落ちてゆく方向であり、四国遍路を行いたいので
    あれば、少しでも早く行うべきであり、その様になるよう自分を追い込む状況作りを計った。

    まず出発目標を平成24年中とし、なにかのおりに、多くの人に、私の「四国あるき遍路」チャレンジを話していった。 やがて、「もう行って来たのか?」とか、「いつ、出掛けるの?」と尋ねられるように
    なり、出掛けねば嘘をついている事だと、追い込まれた気持ちが強まり、四国あるき遍路 Go ! が出来た。

    装備品・身支度については、次回に述べたい。

    追記 : 2013年12月1日
    この記事を読み返して、四国巡礼の旅に準備をしていた頃は、あれこれ考え行動を起こしており、
    このステップも楽しかった事に気付いた。  


  • Posted by ボブ at 15:23Comments(0)四国あるき遍路